隣人の狂気


昨日は地下鉄サリン事件からちょうど10年目だったそうだ.
自分は大学生になる直前だった.
よもや,ここで語る事でも無いのだろうが,大変な憤りを感じる事件だった.
人間が「地獄」という世界観を作り出した背景には,
例えどんな罰を与えたとしても償え無いような罪に対する憤りの
最後の矛先として,「地獄に落とす」事に救いを求めたのでは無いかと思う.
自分にとって,道徳教育で使われるような「地獄」には何の説得力も感じないけど,
この事件や最近の狂気じみた事件では,「地獄」の存在を信じたくなる事が良くある.


人間の世界とは,本当に極わずかの狂気した人間によって,
多くの普通の人間が,壊されていくものなのだろう.
規模の違いがあれど,人の歴史はそうやって作られて来たと思う.


「弱肉強食」という言葉をなぞるのなら,人間の世界は,
「良心を持った普通の人間は,良心を持っていない狂気した人間に食われる」
という見方をする事も出来ると感じるようになった.そう考えると,
良心を持つ事とは「弱い立場」に身を置く事なんだろうか...?


隣人を無警戒に信用出来なくなりつつある今の時代,
良心を持った弱い立場の人間が持てる武器がほしい.
自分自身良心を失ってしまいそうになる.